諭吉拾い音頭

オタク、限界

不朽のばらのこどもたち/ミュージカル・ゴシック「ポーの一族」に出会ってしまった

 ※「ポーの一族」原作およびミュージカルに関するネタバレがあります。

 
大変長らくお待たせいたしました。ただいまより、私作・演出 ミュージカル「オタクの一族」を開演いたします。
 
出会ってしまった。出会ってしまいました。
明日海りおさん、そして柚香光さんに。
 
登場人物
 
私:顔が悪いので顔の良い人間を見ることでバランスを保とうとしている。宝塚は「ひかりふる路」以来3回目のドドドド初心者なので大目に見てください。好きな萩尾望都は「トーマの心臓
 
C:二次元のオタク。2.5もちょくちょく。誘ったらどこにでもついて来てくれるので最高。
 
妹:妹。中学生から明日海さんが好きでムラに通っていたらしい。望月よりもいつも一歩先を走るオタク。今はジャニーズJr.の女。知ってる人の中で一二を争う面白さ。性格が悪い。
 
あらすじ
2018年1月、軽い気持ちで宝塚を観に行った望月とその友人は、ふらふらしているところを花組に撃たれてしまう。するとツイッターのフォロワーが現れてプレゼンを始め、本格的に宝塚に囚われてしまう!(「ポーの一族」を聴きながら読んでください)
 
私「ここにチケットがあります」C「空いてます」という軽い感じで、宝塚を見たことのない友人を連れてミュージカル「ポーの一族」に行きました。
そもそも私が宝塚に興味を持ったのが「ポーの一族」をする、というのを知ったことから。
 
この動画を見てこれは行かないと行けない気がする、と最早使命感を感じてチケットを死守しました。この頃の私はまだ知らない、「ひかりふりたい」「スーパーボイジャる」という訳の分からない造語で頭がいっぱいになることをー!
 
前日に、
私「花組行くけどそんなことより雪組が楽しかったから雪組が見たい」
妹「はあ?にわかも良いところ。花組を見たら花組のことしか考えられなくなるぞ(個人差があります)」
という不穏な会話をし、「いや言うてまだ雪しか見てないし、夢中になるってことは無いやろ。流石に草」と思っていましたが、宝塚の話をする妹は手負いの獣より危険なので反論することはせず、そっか...(笑)と曖昧な笑みを浮かべて寝ました。
 
当日はCと宝塚の駅で集合し、お昼を食べてから行きました。駅出てからあるショッピングモールのようななにかにたくさん飲食店があるのを初めて知り、「住める」と確信しました。お昼間だったからちょっと待ったけどレパートリーが多くて飽きなさそう。
Cはしきりに「駅から宝塚感に溢れてる」と言っていて、1ヶ月の前の自分を見るようで微笑ましかったです(イキリ先輩ヅラ)。
その間わたしはエンドレスで「ひかりふる〜」の話をしたり推しのイベントが不穏なことなどを弾丸で話しました。Cは優しいので私がノンストップエンドレスオタクトークをしても笑ってくれます。でもそんな優しい友人を宝塚という大きな渦に巻き込もうとしている自分にふと気付き、背筋が寒くなりました。そしてあの日以降狂ってしまった友人を思い出し*1、チケット代に圧迫されている自分の口座を思い出し、すこし自嘲してから全てを吹っ切りました。
 
「絶対にこいつを宝塚の女にしてやる。死なば諸共、ちゅーわけや…」
 

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久しぶりの大劇場、いるだけで楽しい。*2
昔、親にディズニーランドに連れて行ってもらっていた頃のわくわくに近しいものがある。やっぱり場の雰囲気づくりって大事だと実感しました。
 

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今回の席は二階前方。(写真は一階に座った時のものです。)初めて二階席に座ったのですが、舞台との距離が近くてとても見やすかったです。見習ってほしい劇場が頭の中で列挙されました。*3
前回も思ったんですが、このタイトルの電飾(?)、可愛すぎやしませんか。過去のを見ても色合いといい書体といい乙女心をくすぐられる...。写真では分かりにくいですが、この丸いドットのような電飾は全部薔薇の形です。期待値が爆上がり。
私はポーの一族の文庫を一巻だけ何度も読んでいて、その他の巻は稀に読み返すというレベル(一巻が好きなのと、トーマの心臓が好きすぎるのとでめちゃくちゃ思入れがあるというわけではない)、友人はほとんど前情報無しというステータス。大丈夫かな〜まあ行けるかあ、という軽いノリでしたが、予想以上に話が分かりやすく纏められていてびっくりしました。
 
本編感想
・空港から始まる場面。この始まり方、なるほどなあと思いました。感嘆。原作は連続した物語ではなくオムニバス形式です。キャラクターを見る限り二つ以上の物語で構成されるのが予想できたので、どうやって繋ぐのだろうと思っていましたがこの形式はとても分かりやすい。三人のバンパネラ研究家(と過去にエドガーとアランに遭遇したルイス)の調査をもとに過去を想起するという物語の運び方によって、我々観客もまた、ポーの一族の伝承を受け継ぐ目撃者となるのです。小池先生はこれがやりたかったのでは?と思うほどの作り込みです。まんまとその術中に嵌った人たちは、ドンの「エドガーは自ら名乗っている。ポーの一族と」という声と共に現れたポーの一族たち、そして下からゆっくりと現れるエドガーの姿に息を飲んだのではないでしょうか。「バンパネラの一族は存在した!」と。森を歩く野性の動物を遠くから息を潜めて見ている、という例えがしっくりくるほど、そこに確実に息づいていました。少しでも音を立てたらエドガーに気づかれて首元からエナジーを吸われてしまうのでは?と錯覚してしまいそうなほど緊張したお芝居でした。やっぱり観劇というより目撃という表現が合ってる。確実にエドガーがそこにいた。
・明日海りおさんの人外めいたその滴るような美しさは*4、人々の想像の中の吸血鬼そのものです。その憂いのこもった表情に一瞬で引きつけられました。長い時を旅する一族。一見瑞々しい外見をしているのに、身の上を聞かれればふと翳る青い瞳はひどく年老いた老人のそれのようにも見える。エドガーが現れると無意識のうちにゾッと肌が粟立ち、彼が人間ではないなにかであることを実感しました。キング・ポーの血を引き継ぎ、次の王になるべき気品が備わっていました。
・仙名彩世さん、何を食べたらそんな澄んだ声が出るんですか?マジで朝昼晩薔薇を食べているのでは?
・メリーベル可憐すぎる問題。お兄ちゃま呼びがたまらなく良い...。
・曲がメロディアスでとても素敵。どの曲も一度聞いただけで耳に残る。またCDを買ってしまった...。
 
余談
・一幕中盤、鳳月杏さん演じるクリフォード医師が出てきた瞬間に「オッ、イケメンおるやん」とオペラグラスをあげた時に、横でもCが同時にオペラをあげる気配があり、「こいつとは一生友達でいよう」と思いました。案の定幕間になったとたん「医者が...」「医者足が長い....」「医者...」と呻き、「ポーの一族 医者 名前 検索」「ポーの一族 宝塚 クリフォード 検索」で休憩30分を使いました。有識者の方によるとファンサがヤバいみたいです。
・ファンクラブが有志によるものだと教えてるとCは完全に混乱していました。私も混乱したので分かる。
・そろそろ拍手の場所がわかり始めた。トップが一番始めに舞台に出てきたときと銀橋に出てきた時。あとトップが「ハァッ!!」ってキメたとき。
 
柚香光さんの話(とレビュー)
 

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好きになってしまった。
まず第一にお顔が好きです。ポスターを見た時からすごく気になっていました。
でもなんとなく前調べをしたくなくて(劇場で見たものが全てだと思うので)、気にかけるようにしようとは思っていました。実際劇場に行くとそんな考えが必要ないくらい目を惹かれました。原作ではエドガーが好きにも関わらず、柚香さんのアランから目を離せませんでした。生意気で可愛いのにある瞬間にはすごく寂しい表情を浮かべる...はわわ...かわいい...かわいそう...学校で王様をしていたのにエドガーに出会ってしまいプライドをへし折られると共に唯一の居心地の良さを見つけてしまう...ああ...少女漫画...チョロい...。とまあテンプレートな感じでかわいいなあと思っていました。この時点で、キャラを可愛がってるだけだと思われても仕方がない。わたしもそうだと思ってた。違った。
レビューで死んだ。
柚香さんずっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっと明日海さんのこと見てる。ずっっっっっっっと見てる。駄目。見すぎ。(多分ほかの男役の人たちも明日海さんのこと見てるんだと思うけど私が柚香さんしか見てないからわからない)
ギムナジウムエドガーがルイスに話しかけられてるところを見てるアランのべったべたの執着と嫉妬が煮えたぎった目つきもヤバかったけど、レビューの柚香さんの明日海さんへの目線に篭った熱が、、、あの、、、、アランが抜けてないのかな、、、、。そんな目をこっちに向けられて踊られると好きになってしまうんですが。えっダンスがピカイチにかっこいい、、、。きらめいている、、、。顔がめちゃくちゃ良い、、、。伏し目がかっこいい、、、。
ここでオペラグラスの向こうの柚香さんから目が離せなくなって追いかけてる途中にふと、わたし柚香さんのこと好きなのではと頭によぎりました。
男役さんたちのダンスを見ながら、あんなにキレキレのかっこいいダンスをする人が、14歳の情緒不安な男の子を演じられることってあまりにもすごい...え、ていうかアランの少年らしい衣装もいいけどレビューのキラキラした衣装とおでこが出てる髪型ぐうかっこええ...と思い、いや一旦冷静になった方がいい、と大きく息を吸ってショーが終わるまで無を貫きました。
〜ショー終了後〜
私「はい。柚香光さんのこと好きです」
C「はい」
 
終演後のこと
「待ってあかん」「あかん最高」「最高と書いてポーの一族と読む」「ゆずかれいさん...」と呻きながら席を離れました。今すぐキャトルレーヴに飛び込みたい、そんな気持ちが私を支配しました。
私「とりあえずキャトルレーヴ行こ」
C「キャトルレーヴって何」
私「宝塚のアニメイト
C「はい」
 
お金を払いたいという衝動のままキャトルレーヴに血気盛んに乗り込むと、同じように興奮しきったお姉様方でいっぱいでした。めっちゃ分かる。多分ここにいる誰とでもサシでお茶くらいならできる。
興奮したままとりあえず目に付いたアランとエドガーのブロマイドを手にとってぎらぎらしているとCも同じだけの枚数持っていたので流石に笑いました。もちろんルサンクも買おうと列に並んでいると後ろの知らないお姉様が急に「待ってその写真どこにあった!?」と私たちが持っていたブロマイドを指さしました。アランとエドガーが夜闇に消えていく超ベストショットでした。「そこの!!一番下の段にありました!!!」「ほんまに?ありがとう!!」そう言うとお姉様は列を外れてブロマイドを取りに走って行きました。面白かったです。
 
 
バンパネラってなんだろう
つらい。全然無理。いっぱいいろいろ考えたからまた個別で記事書くかも。
 
 
ミュージカル「ポーの一族」に寄せて
 
脚本・演出の小池先生は誰よりも「ポーの一族」のファンである。かなり強火である。
ポーの一族」文庫版の一巻の巻末には5ページに渡ってポーが好きだというエッセイを書いているし、「ポーの一族」の上演を20年以上虎視眈々と狙っていたことをパンフレットにもエッセイにも書いている。
 
私の中のエドガーは成長することなく、私の生き方を問いかけ続けて来る。「もう、後戻りは出来ないんだぜ。いいのか?このまま終わっても」

 ポーの一族 一巻(文庫版) エッセイ「バンパネラの封印」 

 
自分に挑戦的に問いかけるエドガーに一言、「やってやったぜ」と答えて宝塚大劇場を指差す小池先生ってことでしょ。夢を叶えた先生めっちゃくちゃかっこいい。かっこよすぎじゃない?え、かっこいい...。エモ...。エモはとはこのこと。
作品が舞台化される時、必ずしも原作どおりである必要はないと思っています。ツールが違えば別物になって当然だし、我々は原作を見にきたわけではなく舞台作品を見に来た訳で、原作と寸分違わないものが見たいなら家でそれを読んでいればいいわけです。(もちろん原作へのリスペクトが無ければ話になりませんが。)
とくに舞台というジャンルでは虚と実を織り交ぜる作業が欠かせないと思っています。それを履き間違えて、舞台で表現しなくていいことまで表現して駄作だと感じる2.5次元舞台があります。(私怨です)
ポーの一族」原作は舞台上で表現し辛い要素があります。バンパネラが消滅するシーンなどはその最もたるものです。しかしその垣根を飛び越えて、舞台ならでは宝塚ならではの表現をしようという志がありました。その熱意や愛情に非常に心打たれたました。終盤、ふたりが闇に消えていく夜のシーン、もう、あそこまで素晴らしい画を私は今後見ないかもしれない。どうしようもなく切なくて、さびしくて、あまりの美しさに、何度見ても泣いてしまう。今この瞬間にも一度見たいと願っています、、、。チケットが無い。
私たちはたしかにポーの一族に出会ったのだ。エドガーとアランをこの目で見留めて、彼らが時間の旅へ消えていくのを見送ったのだ。それだけで幸せだった。千秋楽に小池先生と一緒に成仏したい。嘘、長生きしてイケコ...。
 
おわりに
勢いで誘ったので、たのしくなかったら申し訳ないな〜と懸念していたのですが、今ではCも立派に鳳月さんの話ばかりラインしてきます。誘って良かった。全人類宝塚を見た方がいい。
私も前よりもずっと宝塚歌劇が大好きになりました。とりあえず、エドガーとアランが再び目の前に現れる日を心待ちにしながら「いやあ、ね?わたしにも“贔屓”ってのができたんですよ」とイキリながら生きて行こうと思います。
 
私信 小池先生へ 「トーマの心臓」という漫画があります。あとは...察してください。
 

つらい。

 
合わせて読みたい
みんなもポーの一族に入ろう??
 

*1:前々回の記事を参照

*2:この写真は終演後に撮ったんだけど雪が積もっててきれいなので載せました。

*3:サンケ●ホールブリーゼくん、君のことだよ!

*4:三次元の人間を形容するのに「滴るような美しさ」というワードを使う時がくるなんて予想もしてなかった。でもこれが一番的確。美が滴っていた...。